今回のテーマは、ずばり「読者」です。武論尊こと史村翔先生は、読者の皆さんをどのような存在として捉えているのでしょうか? そして、皆さんに対してどのようなスタンスを持って、作品作りをされているのでしょうか? また、さらに今回は、先生の唯一の少女漫画連載作『ホールドアップ!』についても、お話をお聞きしました。

(取材日/2004.6.12 写真/自宅書斎にて、愛犬と)

●「読者」または「ファン」とは、先生にとってどのような存在なのでしょうか?

んー、なんだろうね…。
多分に読者を意識して書いてるってところがあるから……、
そういう意味では、俺が漫画を書く最大の対象だよね。
だから、読者に媚びるってわけじゃないんだけど…、
とにかく喜ばしてやろうとか、感動させてやろうとか、
漫画を書くモチベーションっていうか、動機っていうか、
そういう形の対象、最大の対象ってことだよな。
そのために書いてる。

だから、読者からNOって言われたら外れだし、
そしたら、俺の中でその作品は失敗だし…、
だからある意味、対象であると同時に、
俺の漫画に対するジャッジ、審判員っていうことなんだよな…。


●「読者」に対する先生のスタンス、またはポリシーのようなものはありますか?

ポリシーかどうかはわかんないけど、
とにかく、読者に受けなきゃいけないって考えがあるから…、
当たんなきゃ意味がないって…。
ということは、読者が喜ばない、面白がってくれないと、
まったく書いてる意味がないっていうことだからなぁ…。

俺の場合、自分で書いた好きな作品がいい作品じゃなくて、
読者が喜んでくれた、当たった作品がいい作品だってのがある。
だから、白い猫だろうが黒い猫だろうが(笑)、
やっぱり当たったのがいい猫だっていうかさ…。

だから、自分の考えなんかわかんないんだよね、よく考えればね。
とにかく、当たるか当たんないかってトコでやってるから。

(その考え方は、ジャンプ時代に培われた?)

そうだろうね。
当たんなきゃ意味ないっていうのは、叩き込まれてるからね。
だって、現実にどんなに好きなものを書いていたって、
当たらないと切られちゃうわけ、連載を。
もちろん、ジャンプにもそういうふうに叩き込まれたこともあるけど、
自分の中でも、そう思っていたからね。

やっぱり、この世界で生きていくには、食べていくには、
ヒットとか飛ばさないことにはどうにもならんていうのがあるから、
オナニーしててもしょうがないしってのもあるし…。

だからね、向いてるわけよ、俺の性格にね。
ほら、小さい時から、ネズミ男だとか、カメレオンだとか、
言われてるわけでしょ(笑)。
あんた、何考えてんのって言われたら、
自分の考えなんかありませんよって感じで(笑)。

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