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プロとして活躍しているマンガ家さんたちもかつては新人さんだった(あたりまえだけど)。新人のマンガ家さんにとってデビューは良きにつけ悪しきにつけ、忘れられないターニング・ポイント。このコーナーでは、マンガ家さんのデビューの頃の話を質問形式で語ってもらいます。
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【第9回目のゲスト/綾坂みつね先生】
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【綾坂みつね先生への30の質問】
- デビューはいつ頃ですか?
平成元年
- デビュー作のタイトルは?
『リバーシブルショック』
- デビュー作の簡単なストーリーを教えてください
髪に結んだ紐がほどけると性格が変わる主人公が、不良に拉致された友達を助けに行くH漫画
- デビュー作でもっとも描きたかったことは?
自分でエロいと思えるシチュエーション
- デビューした雑誌は?
「なでしこ倶楽部」という美少女漫画のアンソロジー本
- どのような形でデビューしましたか?(マンガ賞受賞作、持ち込み作など)
同人誌をやっていたらフリーの編集さんに声を掛けられて
- デビュー作はマンガを描き始めてどのくらい(期間)でしたか?
8年目位
- またそれは何作目ぐらいでしたか?
5、6作目。ショートショート入れて
- そのころの本業(学生、フリーターなど)はなんでしたか?
卒業間際の大学生
- そのころは本気でマンガ家を目指していましたか?
なったらすごいなとは思ってましたが。この時点ではアニメの背景マンに復帰したいと思ってました
- もしマンガ家としてデビューしていなければどんな仕事につくつもりでしたか?
アニメの背景マンになり損ねて、花屋さんに就職を決めた翌日にデビュー作を見た別の雑誌の編集長さんが「連載あげるからうちで描かない」と誘ってくれたから漫画家やってるんで‥‥、そうじゃなきゃ今でも花屋さんやってた可能性が高いです
- マンガ家デビューの際の家族の反応はいかがでしたか?
一度「背景マンやるために大学やめるぞ」と騒動を起こしていたため、大学さえ出てくれたら後はもう好きにしていいよ、ってことだったので。もう何も言われなくなってました
- 目標としていたマンガ家さんがいたら教えてください
細野不二彦先生
- そのマンガ家さんのどこにひかれていましたか?
なんでもオールマイティに面白く描けるところ
- デビュー作の原稿料または賞金は何に使いましたか?
たぶん何かの漫画を買ったのではないかと
- デビューが決まった時の感想は?
「おおっ。やっとか」
実は前出のフリーの編集さんがなかなかOKをだしてくれなかったため、ちょうど卒業制作の時期とも重なって、なんだかんだでネームを五ヵ月ほどいじってたのです
- デビュー作が実際に雑誌に掲載された時の感想は?
「えっ、いつの間に出てたの?」
入稿したのに本にはなかなか載らなかったせいで、すっかり忘れてた時に出たんです
- デビュー前後でマンガに対する考えかたに変化はありましたか?
制作についてはないのでは。ただ、趣味が仕事になってしまって、全部漫画漬けは良くないな。と思った記憶があります
- デビューの頃、編集者と打ち合わせをどの程度していましたか?
デビュー作はうんと掛かりましたが、2作目以降は好きにやらせてもらってました
- その頃編集者との打ち合わせでためになったことは?
友達といっしょに編集部へ行ってはいけないということ。ある編集部で作風が似てるとか言われて(今見てもそんなことぜんぜんないので、あれはいちゃもんだったと信じているが)、僕が持っていた月刊連載枠を「じゃあ二人で隔月交代にね」てことがありました。がびーん! 新人の時は特に発言力ないから気をつけましょう。まあ、あんな酷いことするのはエロ雑誌でもあそこくらいだと思うが‥‥(ここでは、ほかの時にも酷い目にあった。後で聞くとそこは悪名高くて有名な編プロであった。みなさん雑誌に持ち込む時は、できればそこの編集部の評判を聞いてからにしましょう)
- 逆に編集者との打ち合わせで苦労したのはどんなときですか?
何描いても良いよ、といわれると、この雑誌では今何が求められてるのか、というポイントが絞りきれなくて困る
- 編集者との打ち合わせなどはどのような形でしていましたか?
編集さんの机の隣の机に座って話すことが多かったと思います
- 編集者とのつきあいで思い出に残るエピソードがありましたら教えてください
同じ本に描いてる作家の友達に、「そろそろこの本をやめようと思うんだ」と話したことがあって。そのあと、その本に原稿を届けに行ったら、そこの編集長に「綾坂くん、うちの本辞めるんだってね」と言われた事。自分で言うならとにかく‥‥他人から先にそういう事知らされるってのは‥‥。特に、この本は、僕に初の連載をくれた本でしたから。辛かったです。その後、辞めました。ええ
- デビューの頃、良きライバルとか、語り合えるマンガ家さんはいましたか?
同じ本で知り合った作家さんがほぼ同時期デビューだったので。いつも「あいつには負けん!」とは思ってました
- デビューの頃、マンガ家として成長していくために特になにかしたこと、勉強したことなどはありますか?
演劇の脚本の書き方の本を読みました。今でも時々基本に返るために読みます
- デビューの頃、マンガ家として特に何か悩んだことなどはありますか?
ともかくお金がない事。絵が安定しないこと
- デビュー作を今の自分が再評価すると100点満点中何点?
30点くらい‥‥か
- またその理由は?
いろいろ下手くそでもエロ漫画としてはちゃんと成立してたと思うから。ことエロ、という点に限って言えば、今よりも欲望が忠実に出てていいと思う。その意味からいうと、もう少し点つけてもいいかも
- マンガ家としてデビューするために必要なことはなんだと思いますか?
「‥‥したい!」と言う事を出来るだけ多く持つ事。何でも楽しめる柔軟な心を持つ事
- これからマンガ家を目指す人達になにか一言
自分と波長の合う編集さんに出会う事。プロではこれがないと、とても厳しいです
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東京都出身。大学在学中にアニメの背景マンのバイトを経験。その後、同人誌活動を経て、美少女アンソロジーコミックスでプロデビュー。以後、美少女系成年誌で活躍。生々しいエロティシズムあふれる描写と巧みな構成で、一躍人気作家となる。
一般作では角川書店の「ザ・テレビジョン」ほかに小品を発表。1994年より、講談社の「ヤングマガジン増刊エグザクタ」誌上で作品を発表。以降、作品発表の舞台は一般ヤング・青年誌が中心となる。同誌で連載したイメクラを舞台にしたラブHコメディー『りっちゃんのくちびる? 。』('94〜'97年/単行本全4巻)は氏の代表作となった。「エグザクタ」休刊のため連載は終了するが、その後も「ヤングアニマル」(白泉社)「ヤングキング」(少年画報社)等で活躍し、今に至る。現在、「ヤングキング」で『プロ彼女(カノ)』連載中。
代表作は『りっちゃんのくちびる? 。』のほかに『先生は悪女』(少年画報社)、『とってもDANGERバニーちゃん』(大洋図書/'96年にフランス書院より『ひみつのマル禁(禁に丸囲み)バニー』のタイトルで文庫版刊行)。
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