自分の願望が一番大事!!

 うちの新人賞でデビューする人の大半は、OLしてるとか派遣社員で働いているとか、あるいは現在は主婦で昔OLしてたとか、仕事をしてた経験のある人がほとんどです。まれに学生とかアシスタントをしてた??という人もいますが、意外に少ないです。9時〜5時の仕事しながら夜描いて投稿し てる人、多いんです。
まあ、20代30代の女性相手の雑誌なので、漫画の中の主人公もなんらかの仕事をしてる設定多いですから、恋愛面もそうですが現実部分のリアリズムが必要にはなります。描く方もそうですが、読む方も大人ですから。

 ただそれが絶対必要かというと、そうでもなく、それを上回る作品やキャラクターの魅力があればいいのです。ぶっちゃけ「面白ければそれでいい」のですが、そう言われても困りますよね。ただやはり読者と同じような年代だと、共通の悩みや苦労を抱えている分、読者にとって共感しやすい、そして編集サイドもそれに沿うものを選ぶ傾向はあります。そしてそう「言い切れない」のは、そうでない作品もデビューしているからです。ですから大事な ことは、「取りあえず自分が描けるモノを描く」ことしかないと思います。 自分の「思いのすべてを叩き込む」、「自分の経験を生かす」、その上で「漫画として面白い」ということが大事かと。

 もう一つ、女性誌ならではのことを。よくデビュー前やデビューしてすぐの方に聞かれるのが、「恋愛漫画じゃなきゃダメですか?」ということです。 ダメなことはありません。ただもう一度自分の心の中の願望を考えてみてください。「いい男と付き合いたい」とか「いい男と結婚したい」という願望あるでしょう? 「願望や欲望を漫画にする」、この点は男性誌でもそんなに変わらないことだと思います。自分の持っている欲望や願望は、読者の欲望や願望でもあるはずです。

 その部分を突き詰めた上で、たまたま描こうとする漫画が恋愛モノでなかった 場合、それはそれでいいのではないでしょうか? 読む方にとって分かるように描く必要はありますが、自分自身の中で突き詰めた上で出された作品であるなら、そういう部分は読者にとってもある願望だと思うからです。上で書いた「そう「言い切れない」」作品は、多分そういう所から生まれた作品なのだと思います。

 仕事をしながら、他のバイトをしながら、大変な思いをして描いているわけです。どうせなら、描きたい世界やストーリーを思いっきり描きましょう !! それが読み手にとって、魅力的で楽しいことが一番大事なのですから !!

【女性誌編集者・O/2004年5月】


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