【質問と解答】

Q:某雑誌の月例の漫画賞で賞を頂き、現在担当さんに付いて頂いています。かれこれ1年以上、ひと月に1本のペースでネームを作り続けていますが、なかなかデビューできません。担当さんはたまに返事が遅れることもありますが、必ずネームの返事は下さいますしアドバイスも丁寧で、こんなネタはどう?とアイディアを下さることもあります。ネームはどんどん送って下さいと言って下さるので見捨てられてはいないとは思うのですが、いかんせん結果がついてこないので不安です。このままこの雑誌でデビューを狙っても難しいかも知れないと、他誌への投稿も考えていますが、担当さんがついてから1年で諦めてしまうのは早いでしょうか? それとも1年も芽が出ないようでは諦めるべきなのでしょうか? また、担当さんも本当は諦めているのに気休めを言うようなことはありますか?

A:月例の漫画賞でどの程度の賞をとって、あなたの現在の力がどの程度なのかわかりませんが、大賞(別の名称の場合もありますが新人賞の最高の賞)以外の受賞作品は雑誌掲載作品とは天と地とのレベルの開きがあると考えてください。雑誌にもよりますが、メジャー誌だと大賞受賞者でようやく受賞後第1作が1年以内に掲載されるかどうかですから、下の賞の受賞者クラスではよほど成長の早い方でないと1年でデビューにこぎ着けるのは難しいでしょうね。

 まず、あなたは自分の力や作品について客観的に見る必要があると思います。担当さんのアドバイスにうなずけるところがあるのなら、まだまだ自分の力が足りないからデビューできないのも当然だ、もっともっと勉強し練習しなければと思えるはずです。逆に担当さんのアドバイスは的外れだ、私は不当に低く評価されていると思うのならば、打ち合わせの時に納得がいくまでとことん話し合うべきです。それで納得がいかないなら、その担当さんについてその雑誌でやっていっても無駄です。本当に評価が不当なのか、あなたが雑誌に合わないのか、それともあなたが自分を客観的に見られないだけなのか、いずれにせよ納得がいかないまま描き続けていても成長はしません。だらだらと続けていくよりも他誌に投稿して目先を変えてみるのも手でしょう。

 最後に、「担当さんも本当は諦めているのに気休めを言うようなことはありますか?」という質問に対しては、担当はというより人それぞれではないでしょうか。ただ、本当に見放していれば言葉では気休めを言っても態度に出てくると思います。私の場合で言うと、雑誌に向かない、もしくは編集長にあまり評価されていないのでこのまま今の雑誌でやっても作家のためにならないと判断したときは、他誌への移籍を勧めてきました。もちろん最終選択は作家に委ねますが。同じ出版社内に希望の雑誌があるならその雑誌の編集者に直接紹介しますし、希望の雑誌が他社の雑誌であった場合もそれなりにアドバイスはしました。その結果、ベストセラー作家になった方もいれば、今どうしているんだろうという方もいます。しかし、雑誌内での評価や実績は低くても私的に評価していた作家は紆余曲折があるにせよ大抵最後には結果を出していますの で、作家のためには良かったのではないかと考えています。また、他誌に紹介するほどの関係でもなく、いくら指導しても変わらない投稿者に対しては、ネームを送ってくれば指導しますが、催促はしません。そこで本人があきらめるならそれまでだと思ってますが、その場合でも本当にやる気があるならもしかして一皮剥けたネームを出してくれるのではないかと淡い期待を持ってはいます。


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