【質問と解答】

Q:1)絵の上達方法についてお聞きします。自分は現在、ペンを使った線の練習、写真をトレースしてパースをとる練習、プロの方の漫画をトレースする練習、また動物、乗り物が下手なので写真を見ながら練習をしながら、自分の作品のネームも描いています。漫画の上達はひたすら描くしかないと思うのですが、こういったやり方で技術は上達していくのでしょうか? プロの方の漫画をトレースしても、日にちがたつとせっかく覚えた構図やパースの取り方を忘れてしまいます。早くトレースを卒業して見ながら描くほうに切り替えたほうがよいのでしょうか?

 2)アシスタントはよく経験したほうがいいといわれますが、編集者の方に聞いた話だと、大抵は受賞をした人たちの中から、選ばれてアシスタントを紹介されるという話を聞きます。そうすると、アシスタントになるには、まず受賞をするしかないのでしょうか? よくHPでアシスタント募集とのっていますが、大抵は経験者という条件がついていますよね? 受賞をしてない素人が外部から応募するのは、よほどの技術がない限り採用されることはないのでしょうか?
そうなると、受賞経験もなく技術もない人間は、独学で勉強していくしかないってことですよね?


A:1)あなたの漫画歴がどの程度なのかわからないのですが、自分で投稿用の漫画作品を描いているのであれば、もうプロの漫画のトレースは卒業したほうがいいです。上手くトレースできると使ってしまいたくなるので危険です。また、写真トレースでしたら、練習よりも作品の背景用にやったほうがやる気が出るでしょう。背景トレースは時間がかかるので、練習のための作画を続けているとモチベーションが保てないでしょうし、モチベーションが低いまま適当に描いていては上達はしません。集中線やスピード線などの基礎技術の練習は数を重ねるしかありませんが、絵の練習に関してはただ漫然と数を重ねるのではなく、目的意識を持って考えて描くようにしてしましょう。そこに自分の作画に対する創意工夫が生まれます。トレースにしても、陰影の付け方、線の取捨選択、トーンの利用の仕方、キャラクターのタッチとの合わせ方など考えなくてはならないことはたくさんありますし、トレースを使わない作画ならさらに考えなくてはならないことは増えるはずです。
 あと、質問文で気になったのですが、トレースではパースをとる練習にはならないはずです。単に書き間違いならいいのですが、勘違いしているようでしたら透視図法について学び直してください。

 2)アシスタントに新人賞受賞者の方が多いのは、実は一般応募の数が少ないからです。たまに応募者がいても技術が低くては、新人賞受賞者に候補者がいればそちらを選ぶのが当然です。アシスタント先のスタジオはあなたが授業料を支払って学ぶ「学校」ではありません。集中線でもトーン貼りでも、仕事場で戦力になる最低限の技術は独学で身につけておくのは当たり前のことです。もちろん、やり方を知っているというレベルでは駄目で、正確さと速さが伴っていなければ仕事場で足を引っ張るだけです。基礎技術の底上げはあなた自身のためになることですし、丁寧に正確に速く作業することをを心掛けて練習を重ねるだけですから独学でできるものです。あとは、新人賞で受賞できなくとも投稿する際に履歴欄とかに補足で「アシスタント希望」とか書いておくと編集者の目にとまりますので、うまくするとアシスタント先を紹介されることがあります。


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