【質問と解答】

Q:マンガ編集の仕事について質問があります。以前、集英社の週刊少年ジャンプ編集部を取材したTV番組を観ていた時に、編集者には女性がほとんどいなくて、男性の方しかいませんでした。番組の中で編集の方は、理由を「『少年』ジャンプだから」と答えていましたが、少年の気持ちがわからない「女性」は週刊少年ジャンプのマンガ担当編集者にはなれないので すか? 今高1で、将来ジャンプの編集になりたいと思っているので、とても気になります。

A:かつて漫画編集者は男性ばかりで、少女漫画誌も男性編集者が編集していました。その後、「少女」読者の気持ちはかつて少女だった女性のほうがわかるはず、との観点から少女誌に女性編集者が増えてきました。現在では少女誌では約半数、女性誌は大半が女性編集者です。さて、少年誌では長く男性視点中心の漫画ばかりでしたが、70年代末から80年代前半にかけてのラブコメブームの洗礼を受けて、作品に女性視点を取り込むようになってきました。それが、ここ20年の間に女性の少年漫画家が増えてきた理由の一つでしょう。同時に少年誌、青年誌編集部に女性編集者の姿も見られるようになってきました。私が現在所属する月刊少年誌にも女性編集者が二人います。もちろん、女性編集者だからと言って読者の大半を占める男性の視点が理解できないのでは編集者は務まりません。男性作家が女性キャラクターの心理をリアルに描けるように、男女両性の視点を持つことが今の編集者には求められます。とはい え、男性に「少女」としての経験値がないように女性には「少年」としての経験値がありませんから、実体験ではなく想像で補うしかありません。そこから先は各出版社の人事方針の問題となります。「少年」としての経験値がなくても女性視点や女性的感性を期待するならば女性編集者を入れるでしょうし、それらが必要ない、もしくは必要だとしても女性作家の起用で補えると判断すれば女性編集者を入れることはありません。それは雇用機会の不平等ではなく、雑誌に求められる資質があるかどうかです。そして、その資質を決めるのは編集長と出版社の雑誌担当重役です。ジャンプの編集者になるためには、編集長の方針が変わることと、集英社に入って編集者となりジャンプに欲しい人材となるべくアピールすることです。前者はあなたが直接関与することはできませんが、実績を上げてあなたの存在が増せば人事を動かすことができるかもしれません。


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