【質問と解答】

Q:デビューして暫く経った新人少女漫画家です。私の漫画はまだあまり掲載されていませんが、どれもアンケートが最低ランクだそうです。担当編集者は、このままじゃ消えるからエロ要素を入れて描いてください、と言ってきました。中高生をターゲットにした少女漫画では、ラブシーンが入るとアンケートも上がると言われました。ストーリー、キャラの魅力などの実力を上げるのには時間がかかるから、手っ取り早くエロでアンケを取らないと、もう他社に投稿から始めなきゃならないよ、とおっしゃっております。実際に、少女漫画界ではそれは当たり前の戦略なのでしょうか。

A:今まで自由に描かせてもらっていたのが、急にそういう話が担当編集者からあったということは、雑誌の中であなたの進退を問われている、かなり深刻な状況だと考えられます。おそらく次回作(掲載されればですが)が、あなたにとってその雑誌での最後のチャンスでしょう。担当というのは、雑誌でその作家を一番評価して大切に思っている編集者です。ですから、あなたを雑誌に残したいと一番思っているからこそ、急いで結果(アンケートの数字)を求めるが故、作家の意に反してでもエロ要素を求めるわけです。エロ要素は、少女漫画に限らず、少年漫画やヤング向け漫画でも「カンフル剤」として効果があることは過去のデータから証明されています。
 ただし、エロを売りとしている作家と異なり、あなたにとってはあくまでカンフル剤なので、効果は一時的かつ表面的なものです。本当の意味で雑誌に地位を築くには、エロ要素で人気を維持している間に実力の底上げを図らなければなりません。一方で、エロ要素を入れるなら入れるで真剣に取り組まないといけません。エロが入ってればいいんでしょと、読者を侮った仕事をしていると読者に見透かされますし、付け焼き刃のエロ要素は飽きられるのも速いということもわきまえておいてください。また、一度エロ要素で人気を博してしまうと、読者は次回作にもエロ要素を期待するようになりますので、その期待が裏切られたときの反動が怖いという諸刃の剣でもあります。
 エロ要素投入の是非はともかくとして、あなたが今の雑誌で重大な岐路に立っていることはおわかりだと思います。あくまでエロ要素投入を拒んで編集部に判断を委ねるのもいいでしょうし、カンフル剤を打って雑誌での生存を図りつつ力を養うのもいいでしょう。カンフル剤を打っても効果があるかどうかはやってみないとわかりません。いずれにせよ、後悔のない選択をしてくださ い。

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