【質問と解答】

Q:以前の回答に、模写は自分の原稿を作るようになったらもうやめたほうがいいという内容がありました。自分は模写はそれなりのクオリティに仕上げられるのですが、いざ自分の原稿に着手すると、画面のもたない絵になってしまうというか……へたくそです。 どう構図を取ればいいかわからず、線を探しているかんじでうまく完成しません。模写ではペン入れの強弱や画面構成など身に付きましたが、結局お手本がある からトレース状態になってしまうの でしょうか。一から描けないのはデッサン不足でしょうか? 模写ばかり続けても次のレベルにはいけないのでしょうか? 模写とは何に気をつけ、何を学ぶものなのでしょう?

A:模写は、漫画としてデフォルメされたキャラクターの顔、身体、表情、ポーズのバランスを感覚的に身につけるためと、漫画としての表現技術を学ぶために行います。多くの漫画家志望の方は、学習するという意識無しに小さい頃から好きな作家や作品の絵を模写したリトレースしたりしています。若いうちから絵の上手い人というのは大抵、そういった経験の中で技術を理屈でなく感覚的に身につけている人間です。彼らはシーン毎の効果的な構図や演出を、蓄積した過去のデータから無意識に引き出し、必要とあればアレンジさえもしてのけます。過去にどれだけ作品を読み(漫画だけではなく映画や絵画、TV、ゲーム等あらゆるビジュアル創作物を含みます)、どれだけ模写やトレースをしてきたか、という「引き出し」の多さが構図や演出の幅の広さにつながります。あなたの場合、その「引き出し」の絶対数が足りないか、あるいは「引き出し」へのアクセスを感覚的に行うのが苦手なタイプなのかもしれません。前者であればもっと作品を観たり読んだり、模写の数をこなせばいいでしょう。後者であれば、シーン毎の効果的な構図や演出を理論で導き出せるよう、漫画技法、映像技法、美術技法を学んでください。今から学校などに通うのは難しいでしょうが、自分の悩んでいるポイントに応えてくれる技法書がきっとあると思いますよ。そこから手を広げていって作画技法、画面演出、コマ割りの理論を学び、そこから自分に合った創作スタイルを作っていきましょう。

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