【質問と解答】

Q:1)ストーリーの展開がどうも段取り臭くなってしまいます。以前の質問にキャラクターの台詞が説明臭いという内容をお送りしたのですが、今回の段取り臭さもそこが起因なのでしょうか? それと、段取り臭いと読者はどのように感じるのでしょうか? また段取りが許される漫画と許されない漫画とはどのようなものなのでしょうか? 

 2)生きた漫画を描くにはどのような努力や経験をすれば本物感は出せるのでしょうか?


A:段取り臭さを感じさせるのは、ストーリー展開が先読みできてしまい、作品の背後にいる作者の意図が透けて見えるからです。これではドラマにのめり込むことができず、作品を読んでも楽しめません。段取り臭さの要因は、ストーリーの流れを俯瞰的に追いすぎていることにあります。こういう時は、視点を変えてやると作品の印象が一変します。例えば、多角的に描いていた視点を主人公に絞ってやれば、主人公の視界の外で起こっている事象やキャラの行動や感情・思惑は伏せられ、それが主人公に絡んできた時、読者の意表を突くことになります。また、視点キャラの感情導線(ドラマに絡めた感情の流れ)をより自然に組み上げることで読者とのシンクロを高め、そうすることが結果的に段取り臭さを打ち消します。もちろん、個々のキャラの感情導線を組むには、作者の中でキャラクターを確立させておかなければなりません。その点においては、キャラの説明臭い台詞と問題の原点は共通しています。
 ちなみに「段取り」自体が悪いわけではありません。プロットを立てること自体が、段取りを作ることなのです。要するに、そういう作者が脚本を書いている舞台裏を読者に見せない、作品の中の個々のキャラが自分の意思で動いていると感じさせることが大切なのです。

 2)いろいろなモノや場所、世界を取材できるに越したことはありませんが、学生であれば無理をすることはありません。家族や友人といった人間との交流や観察、学校とか放課後の遊びの場とかいった日々の生活や場所そのものがすべて作品作りのための経験です。努力といえば、「観察」する習慣を身につけることで十分です。あとは、日々の経験を作品にどう生かしていくか、そのへんは個人の想像力とセンスです。

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