【質問と解答】

Q:親友が自分には漫画家としての才能がないんじゃないかと悩んでいます。話が思い浮かばなかったり、絵が下手だということで悩んでます。親友は、漫画学科の芸大に入っていて、芸大生で絵のうまい子を見たり、話作りが上手な子を見ては落ち込んでます。最近大学に顔を出しません。なんて励ませばよろしいのでしょうか?


A:先日、週刊少年誌で連載しているある人気漫画家さんから、「漫画家志望の人間が百人いれば百人とも漫画家になれますよ。ただし、条件が一つあります。それは、あきらめないことです」という話を伺いました。私も常々そう考えています。プロの漫画家になるための資質として最も大切なのは、絵が上手いことでも話作りが上手いことでもなく、決してあきらめないことです。もちろん、ただ夢見ているのではなく、漫画のために努力を費やすことを惜しまないということを意味します。はっきり言いますが、漫画を描くと言うことはつらいことです。最低でもネーム、下絵、本原稿と3回同じ絵を描かなければなりませんし、そのネームの前には何倍、何十倍もの没ネームの山を築くことになります。また、ペン入れした後でもデッサンが狂っていたとか表情が今イチだったとかで描き直すことも、10時間かけて描いた背景にインクをボタ落ちさせてしまって泣く羽目になることもあります。よく、「努力も才能のうち」と言いますが、その努力が苦にならないほど漫画が好きなことが漫画家になるための「資質」なのだと思います。私も長年編集者をやってきて、絵が上手かったり話作りが上手かったりするのに、就職して仕事が忙しくなったりゲームや友達づきあいが楽しくてだんだん漫画を描かなくなってフェードアウトしていった新人や投稿者をたくさん見てきました。彼らは一番大事な資質が欠けていたのでしょう。若いうちは勉強や仕事など目の前のつらい現実から逃避するために、自分は漫画を描くことが好きなんじゃないか、漫画家になりたいんじゃないかと勘違いすることがあります。そして、専門学校で漫画ずくめの授業を受けたり、投稿したり持ち込みしたりして編集者の厳しい批評を受けたりして、漫画家への道のりが普通に勉強して一流大学に進学して就職するよりはる かに険しい現実に触れると、自分がそれほど漫画を描くのが好きじゃなかったことに気づいてしまうのです。あなたの親友の方が、自分の今の力量を知っても漫画を諦めずに努力していける方なのか、それとも安易に漫画家への道を選んだことを後悔しているのはわかりません。しかし、後者であれば別の道を探す契機であると前向きに考えたほうがいいです。若いうちなら軌道修正も容易ですから。以上のことを、あなたの親友の本音を見極めた上であなた自身の言葉で伝えてあげてください。

その他のご質問は、フォームからお願いします。