【質問と解答】

Q:現在新人賞に向けて作品を作っている漫画家志望の者です。現在担当さんにもついていただき日々奮闘しておりますが、考える話が全てダメになります。その理由は「身の丈に合ってない壮大なストーリーになってしまう」「いい話を作ろうとがんじがらめになってしまっている」「型にハマってしまっている」というもので、自分でも理解しており、直すべく自分なりに努力していますが、どうしても思うようにいきません。ついつい色んな物を詰め込みすぎてしまうんです。頭ではストーリー作りのコツ‥‥というか基本は分かっているつもりなのですが。何か打開策などはありますでしょうか? それと、こういう事で悩んでいると担当さんに相談してもいいのでしょうか? お仕事で忙しいから迷惑じゃないかなと思うのですが。ネーム等以外のお話って他の漫画家さんともお話とかしているのでしょうか。相談できる人がおらず、とても辛いです。




A:こういうことも広く言えば作品を作るための打ち合わせでもありますし、担当さんに相談するのに遠慮することはありません。仕事が忙しいといっても、新人のこうした相談に乗るのもまた編集者の仕事なのですから。
 あなたの作品を見てきた担当さんにアドバイスをもらうのが一番なのですが、私からもスランプの打開策を提案しておきます。ストーリー作りの基本はわかっているということですから、一度初心に返ってください。仮に32p〜40pのネームを切るなら、まずストーリー漫画の最小単位である16pのつもりでプロットをたてて字コンテに起こしてみましょう。16pですから余計な枝葉をそぎ落としたドラマの骨格が見えてくるはずです。また、自分が描きたいこと、読者に見せたいシーンが絞り込まれるはずです。その上で、ドラマの骨格を補強する形でエピソードを足していきましょう。ストーリーを作る上で、要素をそぎ落とすよりも足していくほうが作りやすいというのはわかるでしょう? ページ数に収まらない壮大な内容になりがちの方は、半分のページのつもりでプロットを作るくらいでちょうどいいのです。ドラマを絞り込むことで、無理にいい話っぽくしようという余計な気負いを持つ余裕ははくなりますし、逆に演出やエピソードには工夫を凝らす余地ができて、型にはまった演出や展開から脱することができます。
 こうした足し算方式のネーム作りを重ねて構成力が身についてくれば、いずれは壮大なストーリーや複雑なドラマを短いページで密度の高いコンテにまとめる引き算方式のネーム作りもできるようになるでしょう。


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