【質問と解答】

Q:BL漫画を描いているのですが、読み切り漫画1本を電子書籍の方から買い取りたいとお話をいただきました。
 1枚の値段も調べてみたところ相場の値段のようでしたが、雑誌とは違い半永久的に自分の手元から作品が離れてしまうことに不安を感じています。
 漫画原稿の買い取り、とはよくあることなのでしょうか。また、買い取っていただいた時に、公開に期限を設けて欲しいという内容は業界的には受け入れてもらえるものなのでしょうか。




A:大手出版社相手の場合、原稿の「買い取り」という言葉は本来の意味ではなく、「掲載権を委託してもらう代わりに原稿料を支払う」という意味で使います。
 しかし電子出版の場合は、出版社以外の業者が参入しており、従来の出版界の慣例が通用しないことが多々あります。
 言葉通りの「買い取り」ならば、作品の掲載権のみならず原稿の所有権や著作者人格権以外のあらゆる著作権まで委譲することになります。著作者人格権とは、この作品はあなたの作品であることを表示する権利(=氏名表示権)、作品のタイトルや内容を勝手に変えて発表しないよう求める権利(=同一性保持権)などを指し、これは著作物が制作された時点で発生し、権利が他者に移動することはありません。
 しかし、それ以外の財産権としての著作権は譲渡や売買によって委譲可能なのです。複製権(出版など)、展示権、譲渡権、貸与権、翻訳権等がそれに当たります。つまり、一度著作権を譲渡してしまえば、あなたが作者だと明示されているにもかかわらず、譲渡者に無断で自分のサイトに作品の画像をアップすればあなたのほうが著作権侵害を犯したとして訴えられることすらあるということです。
 ですから、電子出版の業者と取り引きする際は、「買い取り」の内容をよく確認し、契約書をちゃんと取り交わすことをお奨めします。また、質問にある掲載や販売に期限を設けるかどうかや、販売契約については一社独占的なものであるか他社にも許諾可能かどうかについても事前によく聞いておき、納得がいかなければ交渉してください。
 ちなみに、通常の紙媒体の出版物も5年とかの期限付きの出版契約であり、期間経過後は双方に異存がなければ1年単位で期限が延長されるという内容になっています。大手出版社が作家と電子出版契約を結ぶ際も、その紙媒体における契約に準じた契約内容になっていますから、出版社以外の業者と契約を結ぶ際も期限を設ける交渉は可能でしょう。
 なお、契約時には契約書の条項に事前に合意した条件についての記載がちゃんとあるかどうか確認するようにしましょう。


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