【質問と解答】

Q:某少年誌にてデビューを目指しています。約2年前、デビュー一歩手前の賞をいただき、それから3作品賞レースに出しましたが、全部最終候補レベルには残るものの、佳作(デビュー)に届きません。担当さんとも、なぜ佳作に届かないんでしょう、とお互いに首をかしげる日々が続き、デビューしている人たちと自分の作品を比べ続けました。先日担当が新しい人に変わり、自分の問題点が「演出力」と「予定調和」になってしまう話の作り方にある、というところまで見えてきました。
 前担当にはいつも、「あなたの作品は非常に読みやすくまとまっています。それゆえに、ひっかかかりがなさすぎる」ということは言われ続けてきました。新担当の方にも新しいネームを見せたところ、「話をまとめる構成力はある。だけど、結局予定調和で先が読める」と言われました。私が書きたいものは王道ものなので、予定調和なのは前々から自分の最大の問題点だとは思っていました。予定調和になることは悪いことではなく、「予定調和な結末+そこへいく過程でのワンスパイス=読者の期待通りでありながら、読者の予想を超える面白い作品になる」ということも理屈では理解しています。私の描く漫画がどこかで見たような少し古臭いカンジで、「新しさ」がないことも自覚しています。ただ、その自覚が自分の作品で生かせないため、担当者に相談したところ、「新しさというのは、ゼロから新しいことを生み出せ、というのではなく、既存のものたちで新しい組合せを作ってストーリーを作るということです」とアドバイスをいただきました。
 個人的に高橋留美子さんの短編集と富樫先生の『レベルE』が読み切りの漫画では最高に面白いと思うので、私なりにお二人の作品を分析してストーリーの組み立てを考えているのですが、どうもうまく掴めません。
 「『予定調和』にならない話をつくること」「演出力を高めること」「新しい展開の作り方」について、何かアドバイスいただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。




A:質問の内容を読むと、あなたは理屈では回答をすでに持っている方なのでしょうね。担当編集者もついているので、予定調和に見せない話作りにしても、演出の仕方についても、新しい展開についても、いろいろと話し合っていることでしょう。ですから、直接あなたの作品を読んできた歴代の担当さん以上のアドバイスはできないと思います。
 ただ、理屈でわかっていながら先が読める展開しか作れないのは、エピソードの引き出しが足りないせいではないか、と感じました。経験や知識の不足から、ありきたりのエピソード、読者の予想範囲内のエピソードしか思いつかなければ、目新しさは生み出せませんし、ストーリー展開も簡単に読めてしまいます。どんなジャンルの作品を描いているのかはわかりませんが、頭だけで考えようとしないで自分が体験した身近な題材からエピソードを発想したり、読者の多くが知らない知識を本で調べたり取材したりしてエピソードに取り入れるようにしてはいかがでしょうか。映画をたくさん観たり小説をたくさん読んだりして、表現や演出の幅を広げることもプラスになります。理論や技術はすでに持っていると思いますので、今のあなたに大事なのは「引き出し」を増やすことではないかと考えます。

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