【質問と解答】

Q:デビューしたての新人漫画家です。自分は人見知りなのもありまして、担当さんとは打ち合わせで漫画について以外の雑談などはしません。でも、同じ担当さんについている作家さんで、正直自分より才能は感じられないのですが、担当さんを持ち上げるのが上手で気にいられてる方がいます。自分に対しては冷たい対応の担当さんですが、その人に対しては熱心に指導したり推しているのを知り、とても不公平に感じました、編集さんにはちゃんと漫画の実力で判断してほしいのです。でも、これから先漫画で食べていくにはこうした編集への媚びも必要なのでしょうか?




A:自分のほうがその作家さんより実力があるのに」ということでしょうが、それはあなたの主観ですので、担当さんがその作家さんを不当にひいきしているかどうかは私には判断がつきません。作品の魅力は単純に絵やストーリー構成の技術だけで測れるものではありませんから、その作家さんのほうが推されていると感じるならば、それが現時点における担当さんもしくは編集部の評価ということかもしれませんので。
 しかし、「媚び」というと言い過ぎですが、コミュニケーション能力が高いほうが編集者との付き合いで有利ということは確かにあるでしょう。これは作家と編集者のみならず、様々な職場の人間関係すべてに言えることです。私も昔から人付き合いが下手で苦労してきたので(編集者のくせにと突っ込まれそうですが)、あなたの悩みはよくわかります。あきらかに差が見て取れる作品ならばともかく、同じレベルの作品が二つあれば、個人的に親しい作家の作品がよく見える、肩入れしたくなるのは人間としてやむを得ないことでしょう。ならば、情による微妙な評価のかさ上げを上回る作品を描けばいいのです。そんなかさ上げなど、レベルが並んだときにようやく意味を持つ程度の微々たるものに過ぎませんから。それ以上にひいきが過ぎるようだと編集者失格で、編集長や他の編集部員が黙っていません。ただ、その作家さんのようにはいかないでしょうが、コミュニケーションをとる努力はしたほうがいいでしょう。互いの趣味や嗜好がわかっていると打ち合わせでもアイデアがどんどん出てくるものです。まずは年賀状や暑中見舞いなどの季節の挨拶状に個人的なコメントを書き込んだり、連絡メールのやりとりにちょっとした近況や最近読んだ本や観た映画の感想を書き込むところから始めてはいかがでしょうか。

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