【質問と解答】

Q:ケータイコンテンツの会社(以下A社)で連載していたケータイ漫画を、他の出版社(以下B社)が目にとめて下さり、B社から書籍化されることになりました。私とA社で交わした契約ががんじがらめだったこともあり、B社から印税が私に一切支払われないと知り、落胆しております。その分はすべてA社に支払われるようです。私は、名を売るために、お金にならなくても書籍化を望みました。もう終わってしまったことなので、この件は泣く泣くあきらめますが、今後、A社で連載をさせていただけることになっていますが、「どうせまた本にならない」「他社から本になっても印税がもらえない」と思うと、筆が進みません。今後またA社で描かせていただき原稿料のみで我慢するか、他の方法(時間はかかるものの他の出版社等で描けるようになる)をとるかでものすごく悩んでいます。やはり、連載の媒体は何であれ、最終的には書籍になってほしいと思うのは、作家なら誰でも思う事だと思うのですが、私が間違っているのでしょうか。




A:A社との契約内容がどういうものか不明ですが、あなたもおそらく書面と口頭の説明だけではどういう意味を持つ内容なのかイメージできなかったのではないでしょうか。想像するに原稿買い取りという形なのだと思いますが、その場合は作品の管理とそこから発生する収益の一切を相手の会社に委ねるということになります。つまり、その作品の著者があなたであることを表示すること(著作者人格権)以外のすべての権利(主に著作権のうちの財産権)はA社に帰属することになります。今回のことで契約条項の意味がいろいろと実感できたのではないでしょうか。その上で、製品として作品を納入して代価として原稿料を受け取るという割り切りが出来るなら良し、作品管理を含む財産権としての著作権を保持したいと考えるなら、A社と契約内容の見直し交渉をしたりB社なり他の出版社なりで仕事を探してください。もっとも、B社での単行本デビューに結びつけたということで、A社でのこれまでの仕事は十分実りを得てひとつのステージをクリアしたということでもあります。プロの漫画家としてステージアップを目指すなら、以降は普通の出版契約を結べる仕事を取るようにすべきです。なお、交渉で今後の契約条項を変更できたとしても、それまでのA社との契約が期間を限定したものでない場合は、今まで納品した原稿分の作品の権利はあなたに戻ってくることはありません。

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