【質問と解答】

Q:喫茶店マスターの29歳の漫画家志望者です。
 学生時代、7年間東京にいたのですが、途中で病気になったため、投稿したのは東京生活の最初と最後の2回だけでした。地元に帰って来て、複数の同人雑誌に小説を書いたりしていましたが、ある時漫画への情熱が蘇り、一気に3作書いて各新人賞に応募しました。結果は全てボツでした。
 小説の方では、少ない金額ながら初めて原稿料が入ってきたり、出版社の人と会う機会ができたりと少しずつ前進しています。しかし、漫画を諦めるということを考えると、どうしても寂しい気持ちになります。一番好きなことだからでしょう。29歳とはいえ、通算5回しか投稿していないし‥‥という思いもあります。今半分以上ペン入れした漫画の原稿があるのですが、たった5回ボツになっただけなのに精神的に辛い自分がいます。年齢のせいかもしれません。こういう場合、どうしたら良いでしょうか。




A:雑誌にもよりますが、29歳というと投稿者としてはかなりギリギリの年齢にさしかかっており、かなりのレベルでないと賞に入ることはおぼつかないでしょう。すでに5作投稿して没ということですから、やみくもな努力をするのではなく、自分に何が足りなかったのか、何を改善すべきなのか、努力の方向を明確にすべきです。
 そのためには、まず自分の画風、作風が向いている雑誌を見定めてください。どんなにすぐれた資質を持っていようと、雑誌のカラーと合わなければ起用のしようがなく、新人賞にも入ることはありません。商業誌の新人賞は作品の絶対評価の場ではなく、その雑誌の戦力となる新人を発掘する場なのです。ですから、愛読している雑誌だけではなく手に入る雑誌すべてを買い集めて、労を惜しまず自分に合った投稿先を探してください。
 次に、今描いている原稿を描き上げて持ち込みをし、編集者の批評と助言を仰ぐ必要があります。本気で漫画家を諦めたくないと考えているなら、上京の費用と時間を惜しむべきではありません。先に選んだ投稿先候補の上位5誌程度の編集部に持ち込みをし、もっとも評価の高そうな編集部に作品を投稿しましょう。ただし、その回の投稿は本命ではありません。持ち込みで得た批評と助言をもとに創る次回作が本命となります。
 持ち込みの感触がすべて空振りだった場合は、商業誌への投稿はすっぱりあきらめたほうがいいでしょう。今や商業誌ばかりが作品発表の場ではありません。小説を本業とし、漫画のほうは余技で同人活動というのも悪くないのではないでしょうか。

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