【質問と解答】

Q:2012年2月15日の質問で「新担当さんとのやりとりに精神的にまいっています」でお答えをいただいたものです。
 回答をいただいたものの、フェードアウトするくらいならとわざわざ事を荒立たせないでほうっておきましたら、その後一日おいて私が冷静になるようにわざと時間をおいたと担当さんから連絡が来ました。ですが、その後も指示がわかりにくいのは相変わらずでした。さらに、扉の彩色のリテイクでも仕事なんだから彩色担当者に怒れと声を荒くして言われました。彩色をお願いしている人は私のポケットマネーでお願いしている方で、それは越権だと思います。それで、雑誌の仕事途中だったのですが、辞めたい旨を伝えたところ、その時は他の人に席を譲っていいのかとか私のプライドに訴えかけるので、電話で泣いて仕事を完了させました。そんなわけで仕事はもう来ないだろうという考えていたら、半年で三つほどの仕事のスケジュールを入れてくれました。ところが、後日最後の仕事はキャンセルになり他社に営業を勧められました。私としては切られるんだなと思ったので、メールでその件の質問をやり取りしましたが、そのあと突然担当編集を降りると宣告。次は男性編集者だと言われました。私は驚いて態度を改めるからと謝罪したのですが受け入れられず、結局担当が変わったのですが、ティーンズラブの携帯配信やコミックスの編プロで男性担当ってありなのでしょうか? 主に女性向けのモノを作っている編集部で、入社4か月の男性編集に変わるという事は、戦力外通知か嫌がらせと判断してもよろしいのでしょうか? いきなりの人事異動で、私に原因があったと聞きました(メールでやり取りをしていたのですが、それがいけなかったようです。食いついてくると言われました)。仕事も2本、一緒にその男性の新担当に引き継がれましたが、前担当が私に対して不満があって社長の判断で担当替えになったのに、そのままトラブルの相手に仕事をさせてくれるでしょうか? 一生懸命プロットやネームを進めても、ボツが続いたり返事を先延ばしにされたりして結局掲載できないように仕向けられると時間の無駄なので嫌なのですが、雑誌に穴をあけないように言われています。これはおかしくないでしょうか? 矛盾していませんか? わけがわかりません。編集部の立場でご解説願えればと思いました。よろしくお願いいたします。




A:今回のケースの場合、担当編集者個人と編集部は切り離して考えるべきです。担当さんと作家(あなた)の関係が上手くいっていないために、上司(仮に編集長としておきましょう)が担当替えを行った──単純化すればごく当たり前の人事異動です。私もそういう例は過去何度も見聞きしていますし、現在在籍している編集部でもあります。編集と作家は大抵個人と個人、一対一の関係ですので、間にクッションとなる人間がいないため一度関係がこじれるとなかなか修復は難しいものです。最初は些細なきっかけからなのでしょうが、相性が悪いと相手のやることなすことすべてが気に障るようになり、互いの不満や嫌悪感が言外に相手に伝わってさらに関係が悪化するという負のスパイラルに陥ってしまいます。前回の質問であなた自身の限界が近いことを感じましたが、察するに担当さんのほうも同様だったのではないでしょうか。そこで編集長に訴えて今回の担当替えとなった、ということでしょう。新担当が男性ということを気にしているようですが、大手出版社では少女漫画誌や女性向け漫画誌にも男性編集者は珍しくありません。元々は漫画編集の現場は深夜仕事も多いので男性中心だったのが、徐々に女性の割合が増えて過半を女性編集が占めるようになったものの、今では編集部の何割かは男性編集です。編集者と作家が同性で我の強い者同士だと反発し合う場合がありますが、性別の違うとそのことが緩衝剤として働きます。また、作品作りにおいても女性視点だけではなく男性視点の意見も取り入れることができるので、その分人間描写に厚みが増すというメリットもあります。新担当とうまくやっていけるかどうかは未だわからないでしょうが、編集長としてはあなたが仕事をしやすいよう配慮した結果の人事なのではないでしょうか。編集部にとってあなたが不要な作家なら切れば済むことですし、わざわざ嫌がらせのための人事をするほど暇ではないと思いますよ。この担当交代を前向きに受け止めて、新担当と今度こそうまくやっていけるよう歩み寄ってはいかがでしょうか。

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