【質問と解答】

Q:初連載が終わったばかりの新人漫画家ですが、先日に引き続きご質問させて下さい。今の編集部とは結局自分の描きたい方向性が違うのではないかと見切りを付け、新しい雑誌に営業に行こうと思います。ただそこは今まで私が描いていたジャンルとかけ離れた作品を載せている雑誌なので、一から出直すという意味も込めて完成原稿を上げ、もう一度新人賞に応募したいなと思っています。これにはもう一つ理由があって、既に出版した自分の前作があまりに低いクオリティだったため、今のレベルを知ってもらった上で打ち合わせがしたいというのが狙いなのですが、そういうことは可能でしょうか? あわよくばその作品で大賞を獲ってデビューをし直して、その雑誌でやっていきたいと思っているのですが、友人の漫画家さんは同じ手法をとったものの、その作品が賞にも回されず、掲載もされず、宙ぶらりんな扱いを受けたそうです。「プロアマ問わず」と募集要項には書かれているのに、これはどういうことなのでしょうか? そうはいっても一度プロになった人は賞に応募はできないよということでしょうか? もしかして私のやるとしていることは空回ってしまいますでしょうか? 単行本の売れ行きは良くなかったので、そのイメージを盛り返せる読み切りを! と意気込んでいるのですが‥‥。編集さんがどう受け取るか教えてください。




A:基本的には、心機一転するため新作原稿を描いて投稿からやり直すというあなたのアプローチは間違っていません。友人の漫画家さんの作品が賞に回されなかった経緯はよくわかりませんが、賞に回して上位に入るほどではなくさりとて落とすほどではない、といってプロの作家に下位の賞を贈って中途半端に名前を露出するのも失礼だということで、代原扱いになっているのではないかと推測します。私が以前いた編集部でも、新人賞に割と名前の知れたプロの漫画家さんが投稿してきたことがありました。その時は本当にびっくりして、絵柄からするとご本人のようだがまさか、という感じでしたね(実は私自身ファンでした)。作品自体はあまり雑誌に合っていなかったので、賞からは外して(その賞は完全に新人向けの賞だったということもあり)打ち合わせして別のネームを起こしていただき、連載に至りました。ですから、新人賞で大賞を獲れるかどうかはともかく、きっかけづくりにはなるはずです。可能ならば、いきなり投稿原稿を送付するより、持ち込みに行って当該編集部の編集者と直に接して感触をみたほうがいいでしょう。その時に賞に回すことを念押ししておいたり、上位の賞が受賞できなかった時の対応を取り決めておくと、意に染まない扱いを避けることができます。