【質問と解答】

Q:携帯配信描き下ろしにて漫画を描かせていただいている者ですが、原稿料、印税等の正式な明細をいただけません。フリーの編集者の方に声をかけていただいてのお仕事で、先方の出版社の連絡先も知りません(尋ねても教えて いただけませんでした)。初めは全くの銀行振り込みだけで、メールでの通知もありませんでした。その方個人に印税の8分の3を支払うという約束(口約束)なので、印税から4割弱を引かれたと思われる金額が振り込まれるのみでした。
DL数と印税の正確な金額と、そこから引かれている手数料を具体的に教えて欲しいとお願いしたところ、渋々詳細をその方の手で打ったテキスト状のものをメールで送っていただけるようになったのですが、それも滞りがちです。印税が高額になってきてこのままでいいのかと不安を覚えました。フリーの編集者が間に入っていても、先方からの正式な明細を要求出来るものなのか、またフリーの編集者に支払う報酬として印税の4割弱という割合は妥当なものなのか、また先方の出版社の連絡先を聞くことは失礼になるのか、教えていただければ幸いです。




A:携帯配信をしている会社(出版社なのか配信専門の会社なのか不明ですが)の連絡先を知らされておらず、印税の振込もなされていないということですから、あなたの仕事先(契約先)はその会社ではなくフリーの編集者個人ということになります。そのフリーの編集者は配信会社の社員でないことは当然ですが派遣社員ですらなく、漫画コンテンツの納品を請け負っている外注の業者です。
仮に配信会社をA社とし、フリーの編集者をB社とし、あなたを個人事業主のC社とすると、C社がB社に製品(原稿)を納品し、B社はA社にその製品を納品して代金を受け取り手数料を差し引いてC社に製品の代金を支払うという構図です。つまり、A社とC社は直接の取引相手ではなく、A社でC社製の製品を販売していても会社としては無関係ということになります。おそらく、配信会社のほうではあなたの連絡先はおろか本名や住所すら把握しておらず、フリーの編集者だけがそれらの情報を押さえているものと思われます。
個人ではなく編集プロダクションの一員とも考えられますが、それにしては原稿料や印税の明細がちゃんとしていないのが不自然で、編集プロダクションに属していたとしても会社経由の仕事ではない可能性が大です。ここまで読んでもらえばわかるとおり、まっとうな出版業界での仕事とは全く異なるイレギュラーな請負契約です。
ですから、今の条件が妥当かどうかはあなたが決めることです。今の配信会社と直に連絡をとってやりとりすることは、フリー編集者との間にトラブルを生むことになるかもしれません。相手の人柄がわからない以上、私には大丈夫かどうかの判断がつきません。身近に信頼できる相談相手がいれば(できれば弁護士が理想的)、相談してください。強いてアドバイスするなら、先々までプロの漫画家としてやっていくためには今のフリー編集者との変則的な仕事は減らしていき、今の仕事の実績を背景にしてまっとうな出版社や編集プロダクションとの仕事にシフトしていくことをお勧めします。