【質問と解答】

Q:漫画を描く上でのこだわりってどこまでなら許されますか? 私は主要キャラにはすべて感情移入してしまうせいか、物語を多角的に見てキャラクターそれぞれの枷になっているものを程度の差はあれども盛り込み、最後には枷が外れるようにしているのですが、それだと物語の構造が皆似てきてしまいます。キャラクターが多ければ多いいほど話のネタは広がってくれるのですが、逆にほぼ主人公目線だけの話を作ろうとしても面白いと思えなくなってしまいました。主要キャラは多くても3人程度には収めていますが、読み切りには連載漫画に近い面白さを出したいと思うとその構造じゃないとダメと思ってしまいます。でも、これっていつも同じだと読者は飽きてしまうと思うのですが、どうなんでしょうか? 私自身がすでに飽きてきています。

A:すべての主要キャラがどう考えて行動しているか把握することは大切です。しかし、作品を描く際にすべてのキャラのカードを読者に晒してストーリーを進めるのは、神の視点で箱庭を眺めるようなもので、結局読者にはどのキャラにも感情移入ができずすぐに飽きが来てしまいます。読者にドラマを見せるためには、そのドラマの主役に視点を寄り添わせなければなりません。そのためには、作者自身はすべてのキャラを把握しながらも、作品を創る時には切るべきものは切り捨てることで、誰のどんなドラマであるか浮かび上がらせることが必要です。大河ドラマであれば、長い連載を通じて主要キャラひとりひとりのドラマにスポットを当てて描くことも可能ですが、読み切りであれば視点は一人か二人に絞りましょう。確かに読み切りでも個人ではなく群像総体の物語として紡ぐ形もありますが、群像劇は作者にかなりの力量を要求しますので、投稿段階では避けましょう。ちゃんとした群像劇を描けるだけの方であればすでに担当がついているはずですから、あなたの作劇スタイルと力量を把握している担当さんに相談すべきでしょう。